近頃、頻繁にコロナの後遺症についてTVなどで取り上げられています。
国立感染症研究所によると
倦怠感 95%
気分の落ちこみ 86%
思考力低下 83%
息苦しさ 75%
脱毛 50%
味覚障害 30%
のようです。今回はこの中で一番多い「倦怠感」を取り上げてみます。
日本で治療にあったっている医師の多くが「慢性疲労症候群」という病名に当てはまると言われており、米国でコロナ対策の指揮を取る米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長が、2020年7月にCOVID19患者さんの長期化する疲労が、筋痛性能脊髄炎/慢性疲労症候群(以下、ME/CFS)に似ていると言われています。
慢性疲労症候群(CFS)とはどのようなものなのでしょうか。
厚労省では、
①身体診察や臨床検査で客観的な異常が認められない。
②日常生活を送れないほどの重度の疲労感が長期間続く
この2つが必ずあり、以下の症状のうち8個が少なくても6ヶ月以上持続ないし繰り返していることとされています。
1. 微熱(腋窩温37.2~38.3℃)ないし悪寒
2. 咽頭痛
3. 頚部あるいは腋窩リンパ節の腫張
4. 原因不明の筋力低下
5. 筋肉痛ないし不快感
6. 軽い労作後に24時間以上続く全身倦怠感
7. 頭痛
8. 腫脹や発赤を伴わない移動性関節痛
9. 精神神経症状(いずれか1つ以上)羞明、一過性暗点、物忘れ、易刺激性、錯乱、思考力低下、集中力低下、抑うつ
10. 睡眠障害(過眠、不眠)
11. 発症時、主たる症状が数時間から数日の間に発現または上記の症状が6つおよび以下の症状が2つ当てはまる場合
1. 微熱2. 非浸出性咽頭炎3. リンパ節の腫大(頚部、腋窩リンパ節)
これらの症状を出す原因は、諸説(ウィルス説、精神的及び身体的なストレスが関係している可能性があるなど)あるようですが不明です。
治療についても以下のような対処療法のようです。
・抗酸化療法(多量のビタミンC、CoQ10など)
・免疫賦活療法(漢方薬など)、
・向精神薬(SSRI、抗うつ薬、抗不安薬など)
・精神療法(認知行動療法など)
・運動療法
では、東洋医学では、どのような治療法があるのでしょうか。
基本的に、気(き:現代的にはエネルギー)、血(けつ:体に栄養を与えるもの)、津(しん:現代的に水分)、この3つの成分で人の体は作られており、飲食によって作られます。この3つのバランスが取れている状態を健康と考えます。また、人体は、五臓(肝・心・脾・肺・腎)と六腑(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)からなります。上記の気血津が生み出されるのは五臓六腑が強調して働いているからです。また、五臓が気血津を消費することで生命が維持されます。
慢性疲労症候群は、東洋医学では4つほどのタイプに分かれます。
①脾胃気虚
症状:倦怠感、息切れ、食欲不振、頭痛、めまい、内臓下垂、下痢、微熱など。
②心脾両虚
症状:倦怠感、めまい、心悸、不眠多夢、軟便、下痢、食欲不賑、精神不安、健忘など。
③肝気鬱滞
症状:疲労倦怠感、胸脇脹満、お腹が張る、ため息、食欲不振、憂鬱、やる気がでない、肩こりなど。
④腎陽虚
症状:疲労倦怠感、風邪を引きやすい、畏寒腹冷、腰痛、夜間頻尿、性欲減退、眩暈、耳鳴、健忘など。
例えば①から④まで倦怠感(疲労倦怠感)を訴えているのですがそれ以降の訴えが異なっています。例えば、①と②を比較すると②では、めまい、心悸、不眠多夢などがあり、五臓のうち心の働きに「倦怠感」を訴える原因があると考え、はりをするなら心に関連があるツボを選択していきます。
このように、同じ「倦怠感」という症状でも人それぞれでタイプが異なっているのです。